『なが──いなが──い手紙』
エリザベス・スパー、デヴィッド・キャトロウ絵、
青山南訳
『なが──いなが──い手紙』
個人的お気に入り度:★★★★
- エリザベス スパー, Elizabeth Spurr, David Catrow, 青山 南, デヴィッド キャトロウ
- ながーいながーい手紙
何年か前に読んだものを再読。
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お母さんのお姉さんの「ヒネクレッタおばさん」 は、
遠い町に独り暮らし。
さびしくて仕方ないのか、
お母さんは先月も手紙を書いたのに、
おばさんはもう、
「私を忘れちまったのかい?」 なんていうハガキをよこした。
発奮したお母さんは、
ぜったい忘れないような、長~~い手紙を書いてやる、と決意。
すてきな羽根ペン(これも長い)をもって松の木の机の前にすわり、
朝から晩まで、くる日もくる日も、
長──い長──い手紙を書き続ける。
キャベツのこと、クロッカスのこと、ソーセージのこと、
生まれた赤ちゃんのこと、とうもろこしの値段のこと、
エトセトラエトセトラ。
書きはじめてから一年もたとうとしていたある日、
とうとうお母さんは手紙を書き上げる。
インクと紙がなくなったのだ。
千枚に及ぶ切手を貼り、ついに手紙はおばさんの家に出発。
しかし途中竜巻に巻き込まれ、
手紙はバラバラになって宙を舞い、
手紙を待つおばさんの上にどさどさと降ってくる。
おばさんは生き埋めになってしまうのだった。
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その後の展開が素敵。
詳しくは書かないが、
おばさんの妹であるお母さんひとりの心遣い(長い手紙)から、
町の人の親切に触れる機会が生まれ、
おばさんはもうひとりぼっちではなくなるのだ。
でも、その人間のあたたかさもさることながら、
私が一番好きなのは、ほら話的に壮大なところ。
おばさんも言っていたが、手紙が度を越して、
「災害」になってしまっているところがすごい。
絵もきれいで、面白くてすてき。