『新魔女図鑑』
角野栄子、下田智美絵
『新魔女図鑑』
個人的お気に入り度:★★★
- 角野 栄子, 下田 智美
- 新・魔女図鑑
『魔女のひみつ』
に続いて、魔女図鑑ぽい絵本をもう一冊。
その名もずばり、『新・魔女図鑑』 。
ツヤちゃんの若い(←たぶん)おばさん、エイコさんは
図書館にエドガー・アラン・ポーの『黒猫』を借りに行ったところ、
本物の黒猫が図書館の中を横切っていく。
黒猫が走っていった先で『魔女』という本が光っていて、
エイコさんは本の<扉>に描かれた扉を抜けて、
魔女のゾゾさんの家に。
好奇心の強いエイコさんは、魔女の何が知りたいのかと聞かれ、
「ぜんぶ。」と答える。
そして魔女のことを知りたくて図書館に来たわけじゃないのも忘れ、
ゾゾさんにつれられて、
魔女のことを色々と教えてもらう旅に出発するのだった。
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魔女という存在がどうやって生まれたか、
薬局や医師、産婆や祈祷師といった魔女の担った役割、
魔女狩りなどで虐げられた歴史、
魔女に関係するお祭り、使い魔や薬草のことなどを
エイコさんがゾゾさんに教わってきて、
帰宅後話をしている部分では、
ツヤちゃんと、魔女に仮装したり、
魔女のお茶を飲んだり、ハーブ料理を作ったり、
色々ちょっとずつやってみたりしている。
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草や木の生命力に学び、
赤ちゃんを授かり、無事に産み育てることや、
健康についての知識を蓄えていった魔女のルーツ
古くは「垣根の上にいる人」とよばれ、あの世とこの世、
見えないものと見えるものの境界に位置していた存在だったこと
(だからサンタさん同様、家の中と外の境界である
煙突から出入りするのだという。なるほど!)
など、
かなり観念的で深いなと思うようなことなんかも
わかりやすくまとめられていて、勉強になってしまった。
ストーリーのほうでも、
エイコさんがゾゾさんに会ったときに
ゾゾさんが掃除中のほうきに言っていた
「すみからすみまできれいにしてよ。
そうはいっても、よごれがぜんぶとれるってことはないけどね。
人の心配がなくならないのと同じように、よごれもなくならないものよ。
もっとも、どれがよごれで、どれがよごれじゃないっていうのも、
むずかしいけどね」
というセリフも、さりげないのになんだか深くて、
思わずメモしてしまった。
丁寧に細かく描かれた絵はかわいくてきれい。