『ぼくのかわいくないいもうと』
浜田桂子
『ぼくのかわいくないいもうと』
個人的お気に入り度:★★★
- 浜田 桂子
- ぼくのかわいくないいもうと
ぼく(はやしこうた、2年生)の妹(まほ、1年生)は、
ぼくの休み時間になると、ぼくの教室にとんでくる。
すごいおしゃべりですごいでしゃばりなのだ。
うちにいるときは宿題の最中に絵本を読めと言ってくるし、
ぼくの誕生会には呼びもしないのに邪魔をして、
かわいい女の子がくれたカップを
「これおにいちゃんもってるおんなじー」とばらしてしまったりする。
ぼくはへきえきし、妹のことで落ち込んだために(?)
おたふくかぜにかかってしまう。
そして、ぼくがなおったあと、今度は妹が。
はじめは妹がいなくてせいせいしているようすのぼくだが、
だんだん妹のことが気になり、ちょっとさびしくなってきて・・
妹の好きな絵本
「ぼくのかわいいいもうと」 を読んであげるのだった。
元気になった妹は、前のようにおしゃべりででしゃばり。
校長先生におにいちゃんが好きな絵本を読んでくれたので
おたふくかぜがなおった、と話す。
やんなっちゃう、といいながらも、
まんざらでもない表情の兄なのであった。
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兄の照れくささややさしさが伝わってきて、共感できる。
クラスメイトのきょうだいと妹をくらべて、
あんなきょうだいだったら良かったのに・・
なんて言っているが、
その妹と「ぼく」とがそっくりなところが可笑しい。
図書室で妹が先生に
これ(「ぼくのかわいいいもうと」)おにいちゃんが好きな本、
と言っている場面がある。
もしかすると、「ぼくのかわいいいもうと」は、
もともとぼくの絵本だったのかもしれない、と思う。
ぼくが大きくなったから、妹の絵本になったのかも。
実はかわいくないかわいくないといいながら、
はじめからずっと、
お兄ちゃんは妹をかわいいと思っているのかもしれない。