『お月さまにげた』 | ちわわ図書館

『お月さまにげた』

谷川晃一

『お月さまにげた』

個人的お気に入り度:★★★


谷川 晃一
お月さまにげた


嵐の夜、まんまるお月さまが、

海辺の酒場《金の魚》にやってくる。


店主のボトルは、大喜びで、一番上等のワインをあける。

しかし、お月さまが酔っ払って眠ってしまうと、

ボトルはお月さまを窓に格子のはいった部屋に閉じ込め、

店の宝物にしようと決める。


ワインを沢山飲んだお客にだけお月さまを見せ、

店主は大もうけ。


ところが10日ほどたって、お月さまは空に逃げ帰った。

一体どうして出られたのだろうか?


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自らの特徴を生かして、というか、自然と脱出できるようになり、

空に帰ったお月さま。

そもそも嵐で地上を照らす仕事が休みなのをいいことに

飲みにきて酔っ払って眠ってしまうし、

その結果カギをかけて閉じ込められてしまうのだ。

なんとも呑気で、度量の大きいところのあるお月さまである。


しかし、空に帰った後のしてやったりという表情。
お月さまは店主に仕返しせずとも、

店主を出し抜いて帰ってこられたことだけで十分のようだ。