『絵くんとことばくん』 | ちわわ図書館

『絵くんとことばくん』

天野祐吉、大槻あかね絵

『絵くんとことばくん』

個人的お気に入り度:★★★


小学4年生の優太は、
500円のお小遣いを1000円にして欲しいと思っており、
お母さんにアピールするために台所に貼るポスターを作っている。

不意に頭の中で「だったらぼくにまかせなよ」と声がする。

いつも優太の頭の中でことばで考える担当の<ことば>である。


<ことば>は

「自分ばっかりつかわないで、こどものこづかいふやせ!」

というコピーを提案。


すると、頭の中のもうひとつの声、<絵>が、

もっと面白くするべきだと主張し、

「ふやせ!」 を「ふやしたまえ!」 に書き換え、

鼻の穴に靴下をつっこんでヒゲに見立てた「ぼく」(優太)を

描いてみせる。


<ことば> と <絵> は次々にアイディアを出し合い、

新しい標語やデザインを生み出し、

何種類ものポスターができるが、


最後には、やっぱりすなおにお願いしようということになって、

比較的無難(?)なポスターに落ち着くのだった。

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「広告批評」 の編集長だった著者(ことば担当)が、

おこづかいアップのための効果的な広告、

というかお母さんへのアピールを、

絵とことばを駆使して多彩に表現しようとしていて面白い。


十数種類のポスターが登場したと思うが、

ばくだんの絵が描いてある脅迫半分のもの、

世間の同世代の子が平均いくらもらっているかの統計に基づいたもの、
500円玉より1000円札の方が軽いじゃん、と感覚にうったえるものなど、

どれを見てもふむふむと感心してしまう。

それなのに、優太の中のふたつの声は結構シビアで、

「500円ずつ貯金したら年間6000円たまる」

というようなアピールをしようとして、

いやいや、どうせ全部使っちゃうよ、と思い直したりするなど、

自分のことをわかっているのが笑える。

絵もシンプルで、かわいいと思う。



天野 祐吉, 大槻 あかね
絵くんとことばくん