『ウォートンのとんだクリスマスイブ』 | ちわわ図書館

『ウォートンのとんだクリスマスイブ』


ラッセル・E・エリクソン、ローレンス・D・フィオリ絵、

佐藤涼子訳

『ウォートンのとんだクリスマスイブ』

個人的お気に入り度:★★★


読み物。
「ひきがえる とんだ大冒険」シリーズの第3巻。
12月23日にクリスマスの飾りつけも、
大そうじも終わってしまった
そうじ好きのひきがえる、ウォートンは、
クリスマス・イブはスケートをして過ごすことにする。

厚着で出かけてスケートを楽しむウォートンだが、

雪が降ってきて、道に迷い、

来る途中で荷車を起こすのを手伝ってあげた、

もぐらのモンローと再会し、共に遭難の憂き目に会う。


大きなほら穴を見つけ、避難するふたり。

穴の奥にはコケモモ、りんご、干したくだもの、肉が山と積まれ、

大きなたるにははちみつが。

なんとほら穴はクマの住みかだったのだ。


色々あって(←ここが面白い)、

冬眠していたクマを何度か起こしてしまう2人。

腹を立てたクマは、とうとう2人をほら穴から追い出す。


しかし結局は、いやいやながらも2人を助けることに・・。


あなたは、クリスマスの心というものを、

これっぽっちも持っていません 」 と言っていたウォートンも、

クマの中にたしかにその心があるとやがて確信するのであった。


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迷惑な迷い客にうんざりしていたのに、

いつのまにか2人のペースに巻き込まれ、

最後にはちょっと「クリスマスっていいなあ」モードに

入ってしまうクマが好きだ。


それもウォートンの楽天的な性格あればこそで、

まわりを巻き込んで、いい方向に変えてしまう、

彼のパワーは健在。


モートンの作った、クリスマスの飾り用の、

キンポウゲ入りのカリッとしたクッキー、

オランダハッカ入りの四角いクッキー、

カバの木の皮入りのくるっとまいたクッキー、

ブルーベリー入りのパリパリしたクッキーはどれもおいしそう。


フルコースの方は人間には食べられそうにない料理が殆どだが^^;

(「モートン!きみのクリスマス・イブのごちそうを、

気に入らないやつなんて、いるわけがないだろう? 

by ウォートン)


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また「クリスマスの心」についても、考えさせられた。


私はキリスト教を信仰する人間ではないが、

クリスマスっていいものだなあと思うのは、

クリスマスには「クリスマスの心」があるからで、

「クリスマスの心」は人を寛容にし、親切にする。

また、だれかと一緒に過ごしたいと思ったりする。


以前見たアメリカのドラマ「トゥルー・コーリング」で、

普段敵である男を主人公がパーティに誘う場面があった。


クリスマスイブに1人なんて、というのが理由で、

(まあドラマだからで、実際には多分大嫌いな人間は誘わないのだろうが、)

ええっ、だからってこいつを誘うの?と思いつつ、

こういう精神こそがクリスマスの醍醐味なんだと、

妙に感心したのだった。





ラッセル・エリクソン, 佐藤 凉子, ローレンス・ディ・フィオリ
ウォートンのとんだクリスマス・イブ