『プラリネク あるクリスマスの物語』
アクセル・ハッケ、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、
三浦美紀子訳
『プラリネク あるクリスマスの物語』
個人的お気に入り度:★★★
- アクセル ハッケ, Axel Hacke, Michael Sowa, 三浦 美紀子, ミヒャエル ゾーヴァ
- プラリネク―あるクリスマスの物語
子どもの「君」 が、「クリストキント」
(ドイツで、クリスマスにプレゼントを配る子ども。)
をまっている間に、「私」=父親がお話をする。
以下はそのお話。
クリスマスの近いある日、アルトゥアという男の子は、
台所から「おーーーーーー」という声で呼ばれ、
台所でプラリネの箱を見つける。
アルトゥアはその箱からロボットを作ることをひらめき、
洗剤の箱、コルク栓、トイレットペーパーの芯などを材料に
ロボットを組み立て、プラリネクと名づける。
プラリネクは洗剤の箱やプラリネの箱に書かれたことばを多用した
独特のしゃべり方をする。
アルトゥアはプラリネクをお父さんへのプレゼントにしようと決める。
恐竜の人形やおもちゃのロボットと友達になったプラリネクは、
おもちゃ箱の中でジュースを欲しがっているピエロ(?)のために
ジュースを持ってきてあげようと、台所に行く。
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仕事で飛び回っていてふだん「きみ」のことを
あまりかまってやれないお父さんは、
そのことでちょっと罪の意識を感じていて、
せめてクリスマスぐらいは息子とじっくり付き合いたいと思っている。
しかし息子は父親と接する機会が少ないので、
父親以上にちょっと戸惑っているようす。
だから初めはお話を聞くことを渋るが、
「私」は手に(だったかな)ポーズボタンを描き、
いつでも好きなときにこのボタンを押したら
話すのを止めるからね、といって話し始める。
(私が子どもだったら、そんなボタンを作ったら、
何回も押してみたくなって、話が全然進まない気がするが(笑))
初めはしぶしぶだった男の子も、次第にお話に引き込まれていく。
というのも、自分と同じような境遇の男の子のクリスマスの話だし、
たぶん本当はお父さんのお話を初めから聞きたかったのだろう
という気もする。
結局このお話は、クリストキントがやってきたことで
中断してしまい、そこで話(本自体の話)が終わるのだが、
クリストキントが持ってきたプレゼントよりも、
お父さんのお話の方をうれしく思ったクリスマスになったのではないかな。