『ながいよるのおつきさま』
シンシア・ライラント、マーク・シーゲル絵、渡辺葉訳
『ながいよるのおつきさま』
個人的お気に入り度:★★★★
- シンシア ライラント, Cynthia Rylant, Mark Siegel, 渡辺 葉, マーク シーゲル
- ながいよるのおつきさま
「あらしのおつきさま」 「めぶきのおつきさま」
「いちごのおつきさま」 「あらいぐまのおつきさま」
など、
アメリカ原住民が、一年間の12の満月にそれぞれつけた名前。
その美しい名前にヒントを得て書かれた詩的な文章と、
月の神秘的な光を表現した木炭の絵とで構成された絵本。
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登場するのはすべて満月で、すべて月夜の場面。
ごく大雑把に見ればどれも同じ月夜の夜景にすぎないのだが、
1年の間に季節も移りかわり、天候も変化に富んでいて、
景色も少しずつずらしてあるので、
1年を見ていくと広い範囲を見渡せるようになっているなど、
見ていて飽きることがない。
また、同じ満月でも色や模様の有無、もやにかすんでいるなど
バリエーションがつけてある。
その月に照らされて、
地上の生きものや木や丘の一部が鈍く輝くさまを表現するために、
ほんのりした銀色が使われているのがきれい。
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あらし、よつゆ、いちご、みのり、あらいぐま、しもばしら、など、
季節に合わせて身近な動植物や天候、農事にちなんだ名前がついていて、
アメリカ先住民の人たち(どの部族かなどよくわからないが)が、
昔からそれぞれの満月を特別視しつつ、
親しみを込めて呼び、眺めてきたようすが目に浮かぶようで、
満月に名前をつける風習をなんだかうらやましく思えてきた。