おいしそうなお話
新歌さんのブログの企画「みんなのえほん」の第3回のテーマは
「食べたい絵本」。 (4月8日の記事)
遅ればせながら今回も参加させて頂きます^^
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私の「食べたい絵本」 は、これ。
瀬田貞二訳、脇田和絵
『おだんごぱん』
- 瀬田 貞二, 脇田 和
- おだんごぱん―ロシア民話
逃げ出したパンがキツネに食べられるまでの
割にシンプルなお話なのだが、
ごく小さい頃、焼きたてのパンの香りがしてきそうなほど
お話に入り込んで聞いていた。
おだんごでもなくぱんでもない、
「おだんごぱん」 というその名前が絶妙。
おだんごぱんなんて、そのへんには売っていない。
さぞかしおいしいだろうな、
きっと普通のパンと普通のおだんごのよさをあわせもつ
すごいパンなのだと思っていた。
小学校1年生のときに町のパン工場を見学したが、
工場の中に充満している、発酵中や焼き立てのパンの甘い匂いをかいで、
「これがおだんごぱんのにおいにちがいない」 と確信した。
おとなしく人間に食べられるはずのパンが
逃げ出すという可笑しさも好きだ。
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児童書も可ということなので、欲張ってもう一冊。
コルローディ、安藤美紀夫訳『ピノッキオの冒険』(福音館)
ピノッキオの前にときどき現われて助言や援助を与えてくれる
「仙女さま」 という登場人物が出してくれる、
・おいしいパンに「油と酢で味つけしたカリフラワー」とボンボンの食事、
・友達を呼んで、ピノッキオが人間になるお祝いをしようというときに用意した
「ミルクコーヒー二百ぱいと、上にも下にもたっぷりバターをぬった
小さなパンを四百」
(このパンをコーヒーに浸して食べるのだ)
というのが、小学校3、4年生当時、たまらなくおいしそうに感じた。
ピノッキオはイタリアの子ども皆が全体的に今より貧しくて、
少なくとも若干は今よりひもじい思いをしていた
であろう頃に書かれた話だが、
これを読んだ頃、私もそれなりにひもじかったのかもしれない。
それにカリフラワーがどんなものかを漠然としか知らなかった。
ミルクコーヒーは給食のときに月に一度ほど
牛乳の代わりに飲むことができた。