ちわわ図書館 -46ページ目

『ベンの見た夢』

C.V.オールズバーグ、村上春樹訳『ベンの見た夢』
個人的お気に入り度:★★

地理の教科書を見ているうちに眠ってしまったベンは、
家ごと流れていって、半分水没した世界の名所を訪れる夢を見る。

地理は苦手だったので、
地理の教科書を読むと眠くなる、というところに共感。

白黒の絵で、夢の中の奇妙な静寂が伝わってくる。




著者: Chris Van Allsburg, 村上 春樹, クリス ヴァン・オールズバーグ
タイトル: ベンの見た夢

『満月をまって』

メアリー・リン・レイ、バーバラ・クーニー絵、掛川恭子訳
『満月をまって』

個人的お気に入り度:★★★

100年以上昔のアメリカ。
かごを作って、満月の日に町へ売りに行くお父さん。
「ぼく」は9才になってやっと同行をゆるされるが、
町で山ザルよばわりされてがっかりする。
しかし自分もお父さんのように、丈夫なかごを作るんだと決意するという話。

木々の間を、かごを編むように吹き抜ける風に誘われて、
主人公が夜の森を歩いていくというシーンが印象的だった。


作者は作家で、環境保護活動家でもある。

ほかの人がなんといおうと、自分の思うとおりに生きる。
木や風の声をききながら、丈夫でいつまでも使えるかごを
作りつづけ、それをなりわいにした人たち。
アメリカ・コロンビア郡に実在したが、今はもういない。
かごがビニールや紙袋にとって代わられたからだ。

ものを安価に、早く、大量に作り、大量に消費することは
決して悪いことではない。
みんなにものが行き渡るチャンスが増えるから。

だけど、自然と対話しながら、一つ一つのものにじっくり取り組むような
作り方もいいなあと思う。
それがすたれて、作る人がいなくなることはさびしいし、もったいない。
いいものができるなら、なおさらだ。

本当の豊かさとは、大量生産・大量消費と、こういうスローなものづくりとの
バランスがうまくとれた上になりたつものなのだろう。




著者: メアリー・リン レイ, Mary Lyn Ray, Barbara Cooney, 掛川 恭子, バーバラ クーニー
タイトル: 満月をまって

『鉄のおもいで』

篠原勝之『鉄のおもいで』
個人的お気に入り度:★★★

鉄くず置き場に置かれたスクラップが、
それぞれの栄光の時代の思い出を語り合うお話。

鉄が主人公なので全体に色調は黒っぽいけれど、
鉄くずのひとつひとつに人の役に立ってきた歴史があり、
これから再生されてまた新しい思い出を作っていくのだという、
鉄の過去と未来への、あたたかい視線を感じる絵本。



著者: 篠原 勝之
タイトル: 鉄のおもいで

『月へミルクをとりにいったねこ』

アルフレッド・スメードベルイ、垂石眞子絵、菱木晃子訳
『月へミルクをとりにいったねこ』

個人的お気に入り度:★★★

農家のめ牛の乳が出なくなってしまったので、
子猫にミルクを飲ませるために、母猫が月に向かう話。
犬が、月の上で桶をもっている老夫婦がミルクを分けてくれるだろう、
と母猫に言ったから。

表情がずるそうなので、はっきりは書いてないけど、
犬はそれを信じておらず、
ネコをそそのかそうとしたのだろうと思われる。

月に行けなかったらどうするのだろうとはらはらしたが、
きちんとハッピーエンドになってほっとした。
がんばった者が報われる話だ。

猫や他の動物の走っているところの絵が、感じが出ていていい。




著者: アルフレッド スメードベルイ, Alfred Smedberg, ひしき あきらこ, 垂石 真子
タイトル: 月へミルクをとりにいったねこ

『あお』

ポリー・ダンバー、本下いづみ訳『あお』
個人的お気に入り度:★★★

青い色が大好きなバーティーは、青い犬を飼いたいと思っている。
ちょうどいい犬をみつけたが、その犬は白黒ブチで青くない。
さて、どうしたものか、という話。

訳者も気に入っているところらしいが、
バーティーが考え出した妥協案
何か青いものをやればいい
→何をあげたのかは伏せておきます)が素敵。

パステルカラーの絵(水色と、クリーム色)もかわいい。



著者: ポリー ダンバー, もとした いづみ
タイトル: あお

『たからものさがし』

アラン・アルバーグ、ジリアン・タイラー絵、黒木瞳訳『たからものさがし』
個人的お気に入り度:★★★

「たからものさがし」が大好きなティリー。
パパとママはティリーのために、ティリーの大好きな
バナナやうさぎのぬいぐるみを隠す。
とっておきの宝物は、ティリーだけど、というオチ。

隠して、さがして、見つけるという、
これといった大事件のない日常のひとコマなのに、
なんだかとてもかけがえのない、いとおしい感じのする、
かわいい絵本。

「さがしてさがして・・・・あったあ!! 」
というくり返し出てくるフレーズが名調子。
声に出して読むのが楽しい。

手に取ってから気づいたけれど、翻訳者は女優の黒木瞳さん。
天は二物を与えるのだなあ。




著者: アラン アルバーグ, Allan Ahlberg, Gillian Tyler, 黒木 瞳, ジリアン タイラー
タイトル: たからものさがし

『魔法使いになるための、魔法の呪文教室』

ビアトリス・フィルポッツ、ロバート・イングペン絵、神戸万知訳
個人的お気に入り度:★★★

古代から現代までの偉大な魔法使いと、役立つ呪文を
きれいな挿絵とともに紹介する本。
古代エジプトの魔法使い、ドルイド、実在した錬金術師、
ファンタジーは指輪物語からハリー・ポッターまで。

未知の世界で楽しかったけど、知識がぎっしり詰まっていて、
全部頭に入れることはできなかった。
通読するより、時間をかけて好きなページを開いて読む、図鑑のような本なのだろう。

魔法には子どもの頃から興味があるのだが、そのわりには
ゲド戦記(3巻まで)とハリー・ポッター(4作目まで)
ぐらいしか読んでいなく、魔法についての本も数冊しか読んだことはないので、
もっと色々読んだ後でもう一度目を通してみたい。




著者: ビアトリス フィルポッツ, Beatrice Phillpotts, Robert Ingpen, 神戸 万知, ロバート イングペン
タイトル: 魔法使いになるための魔法の呪文教室

『わすれられた庭』

A.フックスフーバー、酒寄進一訳『わすれられた庭』
個人的お気に入り度:★★★

けっこう字がこまかい。

カティという女の子が、買い物の帰りに突然現れた青い扉をくぐり、
人々に忘れられたものが集まる「わすれられた庭」を訪れる話。

忘れ物のカサや風船、人々がなくした時間の詰まった時計、
カカシにガラクタ小屋などが、鮮やかな色彩で描かれている。

うちの近所にも入り口があるかもしれない。
そう思わせてくれる絵本。



著者: アンネゲルト フッスクフーバー, 酒寄 進一
タイトル: わすれられた庭

『バーバラへの手紙』

レオ・メーター、上田真而子訳『バーバラへの手紙』
個人的お気に入り度:★★★

兵隊にとられたイラストレーターが、娘に宛てて書いた手紙の本。
手紙そのもの(ドイツ語で書かれている)の写真と、
日本語訳で構成されている。

文中に豊富に描かれたイラストがかわいくてきれいで楽しくて、
なんとも心あたたかい気持ちにさせてくれる。

この手紙を書いた人は本当に娘を愛していて、
しかも戦争の極限状態にありながら、
全ての事物にあたたかい目を向けられる人なんだろうなあ。

人間らしいとは、そういうことだ。



著者: レオ メーター, 上田 真而子
タイトル: バーバラへの手紙

『ウィリーの絵』

アンソニー・ブラウン、なかがわちひろ訳『ウィリーの絵』
個人的お気に入り度:★★★

有名な絵画のパロディ絵本。
「ヴィーナスの誕生」「モナ・リザ」「落穂拾い」などなど。

これも絵画を楽しむのが主目的の絵本。
楽しいだけでなく、巻末のパロディの元ネタの絵の解説はためにもなる。

おかしな絵を描いていて笑い死にした画家(ゼクシウス)がいるそうだ。
知らなかった。



著者: アンソニー ブラウン, Anthony Browne, なかがわ ちひろ
タイトル: ウィリーの絵