ちわわ図書館 -48ページ目

『龍』

今江祥智、田島征三絵『龍』個人的お気に入り度:★★★

気弱な龍が沼に住んでいる。
見物人が増えて外に出られなくなるが、
ある日とうとう我慢できずに飛び出すという話。

文章が味わい深い。声に出して読みたくなる。
なぐり描きのような大胆な絵も気に入った。

気弱に笑う龍神様がいたらちょっと見てみたい。
人間とは珍しいものをすぐ見物したがるから困ったものだ。
そういうメッセージも含んだ本なのかもしれないが。



著者: 今江 祥智, 田島 征三
タイトル:

『ぼくのおじいさんのふね』

アンドレ・ダーハン、きたやまようこ訳『おじいさんのふね』
個人的お気に入り度:★★

アントワーヌという男の子がおじいさんの古い船を草原で見つけ、
ロバのオーツと一緒に修理をする。

牧歌的なストーリー。

「うみのたね」というアイテムが気に入った。

『じごくのそうべえ』

田島征彦『じごくのそうべえ』個人的お気に入り度:★★★

上方落語「地獄八景亡者戯」(じごくはっけいもうじゃのたわむれ)を
もとにした絵本。
軽業師のそうべえが綱渡り中に転落死してしまい、
歯抜き師、医者、山伏とともに地獄めぐりをする話。

「まんが日本昔ばなし」で子供の頃に見たことがあるが、
落語が元になっているとは知らなかった。

地獄行きのメンバーが、
それぞれ得意なことを生かして危機をのりこえていくのと、
地獄の鬼や閻魔さまが仕事にならなくてほとほと困ってるようすが
面白い。
また上方方言が地獄の話なのに全体に呑気なかんじを出しているのが
気に入った。



著者: 田島 征彦
タイトル: じごくのそうべえ―桂米朝・上方落語・地獄八景より

『パメラ・パティー・ポッスのあたらしいいえ』

いしいむつみ、こみねゆら絵
『パメラ・パティーポッスのあたらしいいえ』

個人的お気に入り度:★★

すてきな新築の家を紹介する絵本・・
と見せかけて、たねあかしあり。

人形の家と女の子の家、
人形ごっこをしているときの視点はこんがらがって、
どこまでが現実かがあいまいになる。
あくまで等身大の自分として人形遊びをするなら、
人形の友達の家に招待されたら、どうやって小さくなるか考えなくちゃいけない。
自分の分身としての人形を使って遊ぶなら、
じゃあここにいる私は一体だれ?ということになる。
そういうことを考えながら生まれた本かもしれない、とふと思った。

絵がかわいい。



著者: いしい むつみ, こみね ゆら
タイトル: パメラ・パティー・ポッスのあたらしいいえ

『ネズミあなの猫の物語』

アントーニャ・バーバ、ニコラ・ベイリー絵、今江祥智・遠藤育枝訳
『ネズミあなの猫の物語』
 個人的お気に入り度:★★★

しっかりものの猫「はなこ」と彼女のお気に入りの「トムじいさん」が
港町のみんなのために嵐の中漁に出る話。

なんといっても絵がキレイ。
猫のふうわりした毛並みの感触が伝わってくる。

お話自体も嵐の中の苦しい漁な割になかなかほのぼのとしていて気に入った。
はなこがいれば危険な漁でもなんとかなってしまうのだ。
全体的に「いいよねえ~猫って」というオーラに包まれているのもいい。

猫が人間を「しつけている」という表現がまた素敵。



著者: アントーニャ バーバ, 今江 祥智, 遠藤 育枝, ニコラ ベイリー
タイトル: ネズミあなのネコの物語

『お月さまをめざして』

ゲルダ・ワーグナー、リロ・フロム絵、佐々木田鶴子訳
『お月さまをめざして』
 個人的お気に入り度:★★

月には大男が住んでいると聞いて月に行ってみる話。

神話がもとになっている。

全体に平和な感じ。



著者: ゲルダ ワーグナー, 佐々木 田鶴子, リロ フロム
タイトル: お月さまをめざして

『おねえちゃんは天使』

ウルフ・スタルク、アンナ・ヘグルンド絵、菱木晃子訳
『おねえちゃんは天使』
 個人的お気に入り度:★★★

これまた死についてちょっと感じる本。
といっても説教くさいところはぜんぜんない。

生まれる前に死んでしまった「おねえちゃん」は、
天使になってすぐそばにいると思っている「ぼく」。
おねえちゃんに世界を見せてあげるために、
「ぼく」はへんてこりんな方法を思いつく。

主人公のいたずらだか、大真面目だか、わざとだか、無邪気だか、
どこまでがどの感情によるものかわからない行動が
笑えて、やがて切ない。

きちんときょうだいになってから死んだのではなく
生まれてくる前に死んでいるというところが、
「ぼく」とおねえちゃんの間の少しかわいた距離感や
淡々とした語り口にも出ているなんとも透明な感じを
出しているのかもしれない。

言っている意味が自分でもわからなくなってきたが。
どうも気に入ったおはなしほど表現するのが難しい。



著者: ウルフ スタルク, Ulf Stark, Anna H¨oglund, 菱木 晃子, アンナ ヘグルンド
タイトル: おねえちゃんは天使

『夏の庭』

湯本香樹実『夏の庭』個人的お気に入り度:★★★
単行本(絵本じゃない)


人が死んだところを見るために男の子3人組がおじいさんを見張る。
そのうちおじいさんと仲良くなる。
そしてひと夏の間に死ぬこと、生きることについて主人公たちが
いろいろと考える話。

おじいさんが長い人生経験からすっかり悟りきった老人、
ではなく、
意地を張ったり怒ったり、少年たちをいいように使うところなど
人間くさいところがいい。

死んだ後の人の体はモノにすぎないのか。
人が死んだら、その人の思い出はどこに行くのか。

優しくて切ない答えのひとつがここにある。



著者: 湯本 香樹実
タイトル: 夏の庭―The Friends

『うえへまいりまぁす』

長谷川義史『うえへまいりまぁす』個人的お気に入り度:★★★

何にでも値段がつけられるのか、という問いに
「はい、当デパートなら何でも買えます! 」
という答えが返ってきそうな絵本。
ナンセンスだけど、とても楽しい。

エレベーターに乗ってどんどん上へ。
するとおすもう売り場や忍者売り場、
最上階にはなんとあの人(?)たちまで売っている。

「ぼく」と両親が何を買うか、
エレベーターに載せるものがどんどん増えていくのが楽しい。
おすもう売り場ではつまらなそうだな、と思いきや、
思い切って髪型をかえるなど、お母さんのノリのよさが気に入った。

表紙の裏側の特選品広告(桃太郎の桃やさるかに合戦の栗などなど)
も楽しい。

『お金ってなんだろう』

池上彰『NHK週刊こどもニュース よくわかる経済1
お金ってなんだろう』
 個人的お気に入り度:★★★

お金とは何か、経済とは何か、といった基本的な問いに
かみ砕いた平易な文章でわかりやすく答えた本。

小学生の頃に父にこのようにかみ砕いて教えてもらったことを
思い出しながら読んだが、
いまになってやっと飲み込めることも多かった。

たとえばお札は、皆がお札だと認めているからお札なのであって、
そうでなければただの紙切れにすぎない。ということ。

もともとなんとなくわかっているつもりだが、
こういうことは気づくと意識しなくなっている。
そのお札のデザインそのものや紙そのものと、
お金としての価値とを常に分けて考えることが難しい。
だから新札が出てしばらくはなんとなくそれがお金であることに
違和感を感じ、おもちゃのお札みたいに見えてしまう。


世の中の色々なものには値段がついているが、
すべてのものに値段をつけられるのか。
愛情や友情などにも値段がつくのか。という問題提起もあった。

ある程度は、つくと言っていいかもしれない。
お金が沢山あったほうが幸せになりやすいと思う。
お金だけでは幸せになれないが、あるにこしたことはない。

愛情や友情だって一部はお金でやりとりしているのかも。
たとえばプレゼントを買ってもらったり、
食事をご馳走になったりしたら、
買収、といった大げさなことではなくても、
その人のことを悪くは思わないだろう。
100%お金ではないが、どんなことにもお金がつきもの。
幸せの一部もお金で買っているのかもしれないと思ったりする。



著者: 池上 彰
タイトル: NHK週刊こどもニュース よくわかる経済〈1〉お金ってなんだろう?