『そらまめくんのベッド』
なかやみわ
『そらまめくんのベッド』
個人的お気に入り度:★★★
- なかや みわ
- そらまめくんのベッド
そらまめくんはふかふかのさやのベッドが宝物。
えだまめくんやグリーンピース兄弟、
さやえんどうくん、ピーナッツくんなどが
そらまめくんのベッドで眠ってみたいと言ってくるが、
そらまめくんは大事なベッドを誰にも貸したくないのだった。
ところがある日、自慢のベッドがなくなってしまう。
ぼくたちに貸してくれないからバチがあたったんだ、
などと言っていた周りの豆たちも、
そらまめくんがかわいそうになり、自分のベッドを貸してくれる。
しかし、そらまめくんはやっぱり自分のベッドでないとだめ。
あちこち探し回ったところ、
あるおかあさんがベッドを拝借しているのを発見し、
そらまめくんはしばらくの間貸してあげることにするのだった。
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そらまめのさやの内側の、
ふわふわのクッションを見て思いついたのだろう、
よくぞこんなお話にしてくれました、といった感じ。
たしかにあれが自分の持ち物だったら、自慢にしたいのもうなずけるし、
周りの豆たちがうらやましいのもわかる。
拝借したおかあさんのベッドの使い道についても、
大きさがぴったりで、納得。
絵もやさしいタッチで可愛らしくて、癒される。
『おもいついたらそのときに! 』
西内ミナミ、にしまきかやこ絵
『おもいついたらそのときに! 』 こぐま社
個人的お気に入り度:★★★
micaさんのブログで知って、読んでみました。
ありがとうございます^^
micaさんの記事はこちら → 『おもいついたらそのときに!』
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丘の上の小さな上におばあさんと猫が住んでいる。
ある日、庭のチューリップのできばえに
自信をつけたおばあさんは、
「おもいついたらそのときに! 」 と、
大工さんに電話。
家の上に2階を作り、そこで小さな花屋さんを始めることにした。
大工さんが作業している間に、
おばあさんは台所で料理を作る。
すごくおいしいシチューができ、
自分を料理の天才と思ったおばあさんは、
「おもいついたらそのときに! 」 と、
また大工さんに電話。
2階の上に3階を作り、レストランを開店することにする。
その調子で次はドレスのできばえに4階に洋服屋さんを、
次は髪を整えてヘアスタイルに満足し、5階に美容院を作る。
きれいなドレスにすてきなヘアスタイルで
町の音楽会に出かけたおばあさんは、
音楽にききほれ、毎日ききにいけたらいいのにと思う。
そこで「おもいついたらそのときに! 」 と、
最上階に立派なホールを建ててもらうことにするのだった。
翌日、いろんな仕事をいっぺんに開業したおばあさんは大忙し。
ところがなんとビルがふきとんで、そこには・・・。
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おばあさんの器用さ、起業家精神と、
何より行動を起こす早さにはびっくり。
なんとたった一日のあいだに、
花屋さんからホールまでのことを思いついているのだ。
もちろん、その思いつきについていける
大工さんの工事の早さも驚異。
いっぺんにいろんな仕事をするのは疲れるとわかったが、
ビルの跡地に出てきたものにより、
おばあさんには新しいビジネスのアイディアが。
つきることのないおばあさんの思いつきと行動力、
ちょっと見習いたいものである。
一日お店をやってすっかり疲れたので、
次の思いつきはちょっと休んでからとのことだが。
・・しかしこのおばあさんのこと、
次の日にはもう、大工さんに電話をかけたかもしれないなあ。
『にじいろのはな』
マイケル・グレイニエツ、ほそのあやこ訳
『にじいろのはな』
個人的お気に入り度:★★★
- マイケル グレイニエツ, Michael Grejniec, ほその あやこ
- にじいろのはな
新歌さんのブログで知って、読んでみました。
ありがとうございます^^
新歌さんの記事はこちら → 誰かのために
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雪がまだ残っている原っぱにある日お日さまが登ってくると、
にじいろの花が咲いていた。
お日さまに会えてうれしくて仕方ない花は、
そのうれしさを世界中に分けてあげたいと言う。
そこへ、水溜りがあっておばあちゃんの家に
行けないアリがやってくる。
花が花びらを一枚あげると、
アリは花びらをボートにして水溜りを渡ることができたのだった。
そんなふうに、トカゲにはパーティに着て行くドレスを、
ネズミにはうちわを、・・
と、必要に応じて使ってもらえるよう
花びらを提供していく花。
再び冬が近づき、残り一枚の花びらも風にちぎられ、
やがて花は雪におおわれるが、そこから虹が。
今までに花びらをもらった者たちは、虹を見て、
にじいろの花に助けられたことを思い出すのだった。
そして春には・・。
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春から次の冬までの間、精一杯生き、
お日さまの下にいられる喜びを目一杯かみしめ、
その喜びを他の者たちにも分けてあげたいと願い、
実行しつづけるにじいろの花。
自分が生きていることを良かったと思えることは、
すなわち自分を愛せるということ。
自分を愛し、そのあふれる愛情を他者にも分け与えながら生きる一生は
理想的な生き方かもしれない。
目に見える花びらは減っていくのだが、
ある種の豊かさがそこにはある。
個人的に、花に再会したお日さまが、
あいさつしてくれる最後の場面が特にぐっときた。
花としては何かのご褒美や評価を期待していたわけではないのだが、
お日さまが覚えていてくれたことはうれしかったんじゃないかな。
『絵本から生まれたおいしいレシピ』
きむらかよ、晶子、鳥越美希
『絵本からうまれたおいしいレシピ』
個人的お気に入り度:★★★
- きむら かよ, 晶子, 鳥越 美希
- e mook『絵本からうまれたおいしいレシピ ~絵本とお菓子の幸せな関係~』
絵本や児童文学に出てくる
憧れのお菓子・料理をレシピにした本。
『ぐりとぐら』のカステラ、『ハイジ』の白パンに黒パン、
『ももたろう』のきびだんごや、
『長くつ下のピッピ』のジンジャークッキー、
『とらのバターのパンケーキ』のパンケーキ、などなど。
お話それぞれに印象的な場面や、あるいは
そのお菓子などに関係するページなども
ほんの少し抜粋され、紹介されている。
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余白に描かれたラフなイラストや、ページ構成なんかも
なんとなくおしゃれな感じで、
絵本に出てくるお菓子を現実に作ってみる、という試みも
夢があって楽しいし、
以前から何度も読みたいと思っていた。
パンのレシピ担当の「晶子」さんのコラムには、
自宅の普通のオーブンレンジで満足のいくパンを
焼けるようになるまでの苦労話
(プロの釜と違い食パンの上部が黒焦げになった話や、
焼く温度や時間をその都度メモしたことなど)
も載っていて、
掲載されたレシピにはそんな裏話があるのかと、
ちょっとありがたみを感じた。
図書館で借りた本だったので、返却期限がきて、
自分では何も作らずに返してしまったが、
(うちにあっても多分ほとんど作らないんだろうけど^^;)
眺めているだけでも楽しかったのでよしとしよう。
『しにがみさん』
野村たかあき
『しにがみさん』
(柳家小三治 落語「死神」より)
個人的お気に入り度:★★★
- 野村 たかあき
- しにがみさん
子どもができたばかりなのにお金がない若い夫婦がいた。
あるとき、夫の前に死神が現われ、
お金を稼がせてやるから、今日から医者になれと言う。
死神が枕元にいる病人は、助からない。
足元にいれば、助かる見込みがある。
死神が足元にいる場合には、
「アジャラカ・モクレン・キュウライス・テケレッツのパァ 」
と唱え、手を2回たたけば死神は消え、
病人はたちどころに治るという。
そこで男は医者の振りをして死にそうな人のところに行き、
死神が枕元にいる場合は手遅れだと言い、
足元にいる場合に上記の方法で病人を救う。
男は名医だと評判になり、あっという間に金持ちになる。
しかし、ぜいたく旅行をして、あっという間に一文無しに。
金に困った男はまた医者を始めるが、
死神がいつも枕元にいて、お金を稼げない。
そんな折、お金持ちの娘を助けてほしいとの依頼が。
行ってみると、やっぱり死神は枕元に。
報酬の5千両に目がくらんだ男は、
知恵を絞って死神をだしぬき(方法は伏せておく)、
娘を助けることに成功する。
だが、その帰り道、死神に地下の世界に連れ去られる。
そこにはあたり一面にろうそくが。
その一本一本は、一人一人の人間の寿命を表しているのだった。
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オチは結構ブラックで、
背筋がちょっとひやりとするが(でも笑えもするけど)、
死神の消し方を教えるときに、
死神が自分で手をたたいたら消える場面や、
男が死神をだしぬく方法などが面白い。
木版画が味わい深い。
黒子のような死神が、密度の濃い影、のようで、
ああなるほど、死神って見えるとしたらこんなだろうな、と納得した。
『もうふくん』
山脇恭、西巻茅子絵
『もうふくん』
個人的お気に入り度:★★★
- 山脇 恭, 西巻 茅子
- もうふくん
風邪で幼稚園を休んでいたまみちゃんは、
やっと「えん」に行けると大喜び。
すると、赤ちゃんのときから仲良しのもうふくんが
心配だからついていくと言い張る。
幼稚園にやってきたもうふくんはみんなにもてもて。
おばけごっこ(ちょっとバーバパパのよう) や
テントごっこなどをして遊ぶ。
お弁当ももうふくんの上で食べたので
もうふくんはべとべと、しみだらけに。
そこでもうふくんをみんなで洗ったら、もうふくんは
「も、も、も、もへっくしょん! 」 とくしゃみをする。
風邪をひいてしまったのだ。
でも大丈夫。
お昼寝の時間に雲梯の上でおひさまを浴びてあたたまり、
もうふくんはすっかりかわくのだった。
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なんともほのぼのした、あたたかみのあるお話。
もうふくんが以前から了解済みのように
ひとりでに動いて形を変えたりしているのもおもしろいし、
いかにももうふくんらしいな、と思えるような
擬音語や擬態語も楽しい。
寝息は「もーふー、もーふー」だし、
「もへー、つかれた……」 「もっほほー」 もふぁー、など。
絵もやさしい色合いで、
もうふくんのもふぁもふぁ感が出ていると思う。
『スモウマン』
中川ひろたか、長谷川義史絵
『スモウマン』
個人的お気に入り度:★★★
- 中川 ひろたか, 長谷川 義史
- スモウマン
すしのねた部屋在籍の「スモウマン」 は、
幕下だけど、正義の味方。
今日も助けを求める声に呼ばれて行ってみると、
女の子をいじめている悪いやつが。
スモウマンは相撲の技を駆使してやっつける。
「ありがとう、スモウマン 」 とお礼を言う女の子だが、
言ったとたんにおなかがぐー、と鳴る。
そこでスモウマンは女の子を相撲部屋へ連れ帰り、
ちゃんこをご馳走するのだった。
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簡潔・爽快で、コミカルなヒーローもの。
すしのねた部屋の力士の名前が
「時価のトロ」 「タコの花」 「うにぐんかん」 だったり、
飾ってある額縁が「心・技・タイ(魚の鯛の絵)」だったり、
悪いやつがしているプロレスラーのマスクに
「もと力士」 と書いてあったりなど、
小ネタが笑える。
『こぶたのみっぷちゃっぷやっぷ』
筒井頼子、はたこうしろう絵
『こぶたのみっぷちゃっぷやっぷ』
個人的お気に入り度:★★★
- 筒井 頼子, はた こうしろう
- こぶたのみっぷちゃっぷやっぷ
あたたかい春の日、ととぷぅとかかぷぅ、
そしてみっぷ、ちゃっぷ、やっぷの一家が庭仕事していると、
どこからか甘い花の香りがしてくる。
庭に勝手に生えてきたので、鳥が種を運んだんだろうと
みっぷが 「とりのき」 と名づけた木からだった。
やがてきんかんのような小さな実がつき、
やっぷは甘く煮て食べようというが、
だんだん大きくなってきて、
どうやらみかんになりそうだということになる。
それでも実の成長は止まらず、
いよかんぐらいの大きさになったころ、
近所のおじさんが、これはぶんたんの木だと教えてくれる。
すっかり大きく食べごろになるぶんたん。
明日食べようと言っていたが、
当日になると、11個あった実は6個に減っていた。
一体誰が食べたのだろうか?
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一家のやりとりが平和でほほえましい。
きんかん・みかん・いよかん・ぶんたんと、
かんきつ類の名前が小さい順に4種類も登場するところが新鮮。
『いろはのかるた奉行』
長谷川義史
『いろはのかるた奉行』
個人的お気に入り度:★★★
- 長谷川 義史
- いろはのかるた奉行
架空の人物(兼著者の分身)、「いろはのかるた奉行」が、
伝統的ないろはかるたの意味を解説し、
新しいオリジナルのいろはかるたを紹介する絵本。
かせぐにおいつくびんぼうなし
→ かじきにおいつくまんぼうなし
(まんぼうは所詮かじきには追いつけない)
そうりょうのじんろく
→ そうじきのまんぞく
(掃除を終え、足の親指でコード巻取りボタンを押す。
→一気にコードが入ると気持ちいい →しめくくりが大切)
など、音は似ているが
古いいろはかるたとは全く違う意味のことわざが並ぶ。
うそからでたまこと
→ うたもうたうふじたまこと
げいはみをたすける
→ けぃはみぃをたすける
のように著者の趣味が反映されていそうなの(?)もあれば、
えてにほをあげる
→ えすてほおあげる
ゆだんたいてき
→ ゆだんかいてき
のような、ひと目でなんとなく納得してしまえるものもある。
「そうじきのまんぞく 」 の解説ひとつをとっても感じられるように、
伝統的ないろはかるた同様、
全体に庶民的な感覚にあふれるフレーズが多く、
笑ったり、うなずいたりしながら読んだ。
それはさておき、私が一番すごいと思ったのは、
「門前の小僧習わぬ経を読む」
と対になった、現代版のかるた。
ことばも意味も、こじつけで笑えるんだけど、
声に出して読んでみるとそれっぽいことばに聞こえるし、
意味もちゃんとためになりそうな内容になっている。
どんなことわざに変わっているかは、読んでみてのお楽しみ。
『おべんともって』
森山京、片山健絵
『おべんともって』
個人的お気に入り度:★★★
- 森山 京, 片山 健
- おべんともって
くまの子が、木こりのお父さんと一緒に食べようと、
お弁当を持ってでかける。
その途中で、やまぶどうをつみにいくきつねちゃんや
木のぼりしているサルの子、
釣りをしているたぬきのおじさん、
花をつみにきたウサギのおばあさんなどに出会い、
楽しそうにお弁当を持っての外出について話すくまの子。
お父さんとお弁当を食べたくまの子は
からっぽのかごに落ち葉を集め、
お母さんへのおみやげにするのだった。
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お弁当を運ぶという重大な任務をまかされたくまの子の、
おつかいの道すがらのわくわく感が伝わってくる、
ほのぼの系の絵本。