ちわわ図書館 -49ページ目

『天使のクリスマス』

クリスマスどころかお正月休みも終わってしまいましたが
クリスマスの絵本を読みました。




ピーター・コリントン『天使のクリスマス』個人的お気に入り度:★★★★

煙突のない家の子供には、
サンタさんはどうやってプレゼントを持ってくるのか。
答えはこの本に載っている。

丁寧に描きこまれた絵だけで字のない絵本。

しんしんと降りつもる雪の中、
遠く、どこからともなく鈴の音のような音がきこえてきて、
トナカイの引くそりがゆっくりと地上に降りてくる。

鈴は描かれていないんだけど、
私のクリスマスの心象風景はそんなかんじ。
この本はこちらの心の中の風景も呼び覚ましてくれる。

江國香織さんの解説もすてき。



著者: ピーター・コリントン
タイトル: 天使のクリスマス

『へびのクリクター』

トミー・ウンゲラー中野完二訳『へびのクリクター』
個人的お気に入り度:★★

息子にプレゼントされたへびと、夫人のくらしを描いた素朴な絵本。
へびがもし、人間といっしょに、なおかつ人間みたいにくらしたら、
という仮定のお話。

毒蛇かどうかを夫人が動物園に調べに行ったりするのが妙にリアル。
へびが文字や数字を覚えて自分の体で文字を作ったりするのが楽しい。
おはなしを楽しみながら文字も覚えられそう。




著者: トミー・ウンゲラー, 中野 完二
タイトル: へびのクリクター

『ぞうの金メダル』

斉藤洋、高畠那生絵『ぞうの金メダル』
個人的お気に入り度:★★★

ぞうがオリンピックに出たらどうなるかを描いた絵本。

はじめから可笑しい。
「ぞうが消防士だけやっていると思ったら・・・


大間違い!」

ぞうは重量挙げはもちろん、かけっこでも、水泳でも強いんです、
と、荒唐無稽なオリンピックのようすが迫力のある絵で表現してあって、
楽しい。

ありえね~!と思いつつも、「ぞうってやっぱりすごいのね」と
ごり押しで説得されてしまう。

『2ひきのいけないアリ』

C.V.オールズバーグ、村上春樹訳『2ひきのいけないアリ』
個人的お気に入り度:★★★

アリの行列がクリスタル(砂糖)を求めて人間の家まで行進する。
2ひきのいけないアリは列を離れ、
砂糖壷の中で暮らすことにするが、
突然大きなスコップ(スプーン)ですくい上げられ、
そして家の中で次々と危険な目に遭う。

アリの目で見た草むら(深い森として描かれる)や、
家の中の世界が新鮮。

女王アリのせりふ
「私が望むのは、これをもっと食べることです。
もっともっと、たくさん食べることです」
という部分が、何だかかくかくした、直訳っぽい感じなのが
いかにも女王様、かつ昆虫っぽくて気に入り、印象に残った。

結末はホッとしつつも、
「やっぱり我が家がいちばん」系の結末がちょっとさびしい
気もした(いけないアリがこりない方が私ごのみだったかも)が、
それにしてもこの2匹、結構タフ。
「アリ版ダイ・ハード」といった趣である。



著者: クリス・ヴァン オールズバーグ, Chris Van Allsburg, 村上 春樹
タイトル: 2ひきのいけないアリ

『もしもぼくがいぬのがっこうにいったら』

小中学校は今日から新学期のところが多い。
でも犬の学校には、夏休みも冬休みもほとんどないかな。




きたやまようこ『もしもぼくがいぬのがっこうにいったら』小学館
個人的お気に入り度:★★★

のんびり犬のむさしが、
警察犬や盲導犬の学校に来ないかと誘われて、
もしも自分が学校に行ったら・・と想像するという話。

のんびりマイペースのむさしは楽しいこと優先。
職業犬には向いてなさそうだが、
むさしのおおらかな性格や、何気ない観察力の鋭さが気に入った。

好奇心旺盛なむさしは、
牧羊犬には向いてるんじゃないかな?
などと色々想像すると楽しい。

--もちろん、そのままでもきみはすてきだけどね。
といってあげたくなる。

 

『う・ん・ち』

なかのひろみ、ふくだとよふみ写真
『う・ん・ち 福音館の科学シリーズ』

個人的お気に入り度:★★★★

男子トイレをすべて個室にした小学校の話をきいたことがある。
そうしないとをしたときばれてしまうからで、
小学校ではそれだけでいじめの対象になってしまうことがあるからだ。

学校でうんちをして何がいけないのか。
何もいけなくはないとこどもでもわかっているはずだけど、
なんとなく私が小学生だった昔から、
人間たるもの「うんちなんて一度もしたことないよ」という顔をして
暮らさなくちゃ、という風潮はたしかにあった。
 
この本はそういう風潮に真っ向から異を唱える本である。
(といっても人前で平気でうんちをせよ、とまでは言ってないが。)

開いた瞬間いきなり色んな動物の脱糞シーンが目に飛び込んでくる。
そして次から次に豊富な種類の動物と、そのうんちの写真が登場し、
まさにうんちてんこ盛り。(変な表現ですいません)

龍涎香はマッコウクジラの腸にたまったイカのくちばしがかたまったもの、
アゲハは蝶になったらうんちしない、
というのは初めて知った。勉強になった。
巻末の索引兼うんち図鑑を眺めるだけでもかなり見応えがある。

人はうんちをしなければ生きていけない。
そんな当たり前のことを思い出させてくれる本である。



著者: なかの ひろみ, ふくだ とよふみ
タイトル: う・ん・ち

『ナーサリー・クライムズ』

アーサー・ガイサート、久美沙織訳
『ナーサリークライムズ―しちめんどうくさい七面鳥盗難事件』

個人的お気に入り度:★★

クリスマスのお話。
木を刈り込んで作った七面鳥のトピアリーが何者かに盗まれ、
ジャンボニー農園は火の車に。
犯人をみつけ、農園の経営を立て直せるか、というのがこの話の焦点。

豚一家の絵がかわいい。
1ダースの子供がいるのだが、どの絵にもちゃんと12人描いてある。
この絵本に限らず、登場人物が沢山いる話だと、つい数えてしまう。
たいていきちんと描いてあるんですね。
話の上でそこにいないなどのとき以外は。
かくれんぼみたいにお尻だけ見せてる子とかもいて。
数えても遊べるように考えて作ってあるのかもしれない。

ジャンボニーの奥さんの態度が立派。
夫が悲嘆にくれても、大丈夫大丈夫と楽観的。
そして自分のアイデアで特別なトピアリーを作って、
一家を救う。

豚のカガミ、いや、主婦のカガミです。



著者: アーサー ガイサート, Arthur Geisert, 久美 沙織
タイトル: ナーサリークライムズ―しちめんどうくさい七面鳥盗難事件

『おりこうねこ』

ピーター・コリントン、いずむらまり訳『おりこうねこ』  
個人的お気に入り度 ★★★

ある日突然かしこくなったねこが、お金を手にし、人間の遊びを覚え、
働くようになり、そして・・
最後に「本当におりこうなねこ」になるというお話。

猫が人間みたいにくらし始めたら?
というのを精緻な絵で表現してみせた
猫好きにはこたえられない楽しい物語。

だけれど、
読んでいるうちに、なんだか身につまされるものを感じた。

遊ぶため、食べるため、家賃と、それとお金を返すために
しゃかりきになって働いて、あとにはなにも残らない。

--これって、平均的な我々人間のくらしそのまま?
猫がやっているととてもおかしく見えるだけだが。

本当にりこうな猫は、
キャットフードの缶ヅメを自分であけたりはしないものだ。

では、本当にりこうな人間とは・・?



著者: ピーター コリントン, Peter Collington, いずむら まり
タイトル: おりこうねこ

『たまごのふしぎ』

ためしに以前読書ノートにつけていた星もつけてみます。
星はあくまで主観。私がどのくらい気に入ったかを表します。

だいたい1から5個まで。
5だと相当気に入ったものだということ。

でも学校の5段階評価とはちがって、3個は「ふつう」ということではなく
「ふつう」~
「結構気に入ってるけど4個や5個になる本とは区別したいもの」
まで幅広く含みます。

読んでいるときの気分によっても変わるし、
しばらくたってその本に対する考え方が変わってきたら
書き換えるかもしれません。
あくまで直観的なもの。

私が書くからには私の独断と偏見を交えなければ意味がない。
という意味でつけてみる、通信簿ではない私の「お気に入り度」です。




吉村卓三『たまごのふしぎ』  個人的お気に入り度★★★

色々な動物のたまごを紹介する「ほぼ図鑑」本。

「生命のカプセル」であるたまごについて、進化の分類別の特徴や、
ニワトリ、ダチョウ、カメなどの孵化のプロセスなど詳しく載っている。

初めて知ったことがいくつかあり、大人が眺めても楽しい。
アメフラシのたまごはモンブランの細く絞り出したマロンクリームのよう。
また、ハリモグラが卵で産んで乳で育てるというのも知らなかった。

鳥類のいろいろな模様のたまごが並んでいるページは一番きれい。
宝石を見ているよう。

たまごという観点から、生き物の誕生の不思議について改めて感慨深く思った。




著者: 吉村 卓三
タイトル: たまごのふしぎ―たまごは生命のカプセル

『ぼくのうちに波がきた』

キャサリン・コーワン文、マーク・ブエナー絵、オクタビオ・パス原案、
中村邦夫訳 『ぼくのうちに波がきた』
★★★★


海辺で波と仲良くなった男の子が、波をうちにつれて帰り、
一緒に遊んだり、眠ったりする。
だけど次第に波をもてあまし、困るようになる。

とても詩的な、読んでいてここちよい文章に、
登場人物(や動物)の表情がとても豊かな絵。
(とくにびっくりして目をまるくしている顔がリアル)
結末はちょっぴりさびしいけど、何度も開いて眺めてしまう。

波に抱かれて眠るくだりがあるけれど、
この感触は少しわかる。
お風呂に入ってあたたまってくると、誰か体の大きな、
体温の高い生き物にやわらかく抱きしめられているような感じが
することがある。
海の波はもう少しひんやりと、
熱帯夜に涼しく心地よい温度だと思うけど。

水は生き物だ。
寄せては返す波ならなおさら生きている感じがする。

もし波がうちにきたら → そこらじゅうびしょぬれになる

と単純に考えてしまわず、
昔、雲に乗って空を駆け回りたいと思ったように、
こんな波とうちで暮らせたらなあ
(もちろん友好的な波じゃないと困るけど^^;)、
と思わせてくれる本。



著者: オクタビオ・パス, キャサリン・コーワン, マーク・ブエナー, 中村 邦生
タイトル: ぼくのうちに波がきた